2014年11月14日金曜日

人を動かす

Tuckの校内に、Tuckグッズを販売しているTuckStuffという名前の店があります。

この店は完全にTuck生のみで運営されています。学校側は場所を提供するだけで、運営には一切口を出しません。現在、現役2年生6名及び現役1年生7名の計13名がスタッフを務めていて、13人の有限会社のような状況です。どういった商品を置くのか(Tシャツ?カバン?ゴルフボール?ワイングラス?)という商品デザインから、調達、プロモーション、店内販売業務まで全てをこの13名で行います。いま中心メンバーとなっている2年生は私の同級生に当たりますが、彼等は今年から以下2点に新たに力を入れました。

① 新作商品が入荷される度にFacebookでプロモート
② これまで補足販売的な位置付けにあったweb経由での販売にも注力(webコンテンツの整備、積極的なプロモーション)

その結果として、今年に入ってから売上が驚異的に伸びたようです。TuckStuffの主要取引先はPatagoniaで、TuckStuffの商品デザイン担当は頻繁にPatagoniaと新商品に関する意見交換を行っています。Patagoniaから見ても、全米各地の販売の中でTuckStuffに於ける販売率が非常に好調なので、同社からTuckStuffに『どのようなマーケティング手法を採用しているのか?』との問い合わせがありTuckStuffがプロモーション内容をPatagoniaに紹介するということも今年はありました。

TuckStuffは学生による自主運営ですが、学校に対して帳簿内容を全て公開して、TuckStuffの利益は全額Tuckに収められます。働いている13人に対して一切給料は払われません。相当な時間と労力を費やすことになりますが、『自分たちでTuckStuffを経営する』という経験を得る為に学生たちは関わっています。TuckStuffのスタッフを務める同級生の内3人にTuckStuffに関与するモチベーションに関して聞いてみました。

投資銀行に進むことが決まっているC(男性)は、『投資銀行に進んで今後様々な企業にfinancialなアドバイスをしていくであろう中で、自分自身が実際の企業の帳簿を作るという経験を積んでおきたかった』と述べています。彼はTuckStuffでは会計を担当しています。

TuckStuffで調達を行っているV(女性)も、次の自分のキャリアを見据えて経験を積んでおきたいという点に於いてCと同じでした。『今後リテール向けコンサルティングに進んでいく中で、自分自身がリテール業務を正しく実務として理解しておく必要がある』とのこと。

COOを務めているH(女性)からは、少し想像と違った回答を得られました。『自分が一番興味があるのはHR。従ってどのように人を動かすのかということに関心がある。スタッフは13名とも前向きにTuckStuffに取り組んでいるが、当然にモチベーションのレベル感や興味の方向性は異なる。そういう中で人を纏めていく経験を積んで、自分の次のキャリアに活かしていきたい』とのこと。

特に最後の人を動かすというのは説得力のある話だと思いました。ビジネススクール、リーダーシップ、というのは結局はどのように人を動かすのかということに繋がっていきます。Tuckの同級生は皆非常に存在感のある人たちですが、それぞれが異なる方法で周りの人を惹きつけていっている点が非常に興味深いと私はいつも思っています(その辺りの頭の整理は過去の投稿もご参照下さい)。

キャンパスビジットでTuckに来た際には、是非TuckStuffにも立ち寄ってみて下さい!

(この日居なかったスタッフが1名居るので写真は12名です)
よしかん(T’15