2014年10月25日土曜日

発言しないのは恥、的外れな発言をするのはもっと恥、じゃあどうする?

とある日の授業・・・

物腰が柔らかくて皆に愛されているジョンが、Slaughterの授業の議論の中でかなり激しい口調で教授に対して反論。ただその反論の内容があまりにも的確だったので、さすがのSlaughterも少し押されていました。私は『反論のポイントがかなり的を射ていてさすがジョンだな』と思うのと同時に、普段と違って攻撃的な口調のジョンに少し驚きました。授業後、たまたま廊下でジョンとすれ違ったので、私の方から『今日のジョンの授業中の発言は的確で良かったよ。Slaughterも少し押されてたね』と伝えました。するとジョンは、『例えば将来自分がCEOになったとして、記者会見などをこなす中で、かなり強気な姿勢で記者の質問に答えていかないといけないような状況も出てくると思うんだ。だから今日は授業中に強気な態度で反論する練習をしてみようと思ったんだよね。事前にしっかり頭の整理をしておくこと、スピード感を意識して相手の発言に対して俊敏に反応すること、この2点を今日は心掛けたよ』と答えてくれました。

また別の日の授業・・・

Leadershipの授業。今日はキルスティンも、ネルも、エミリーも(全員女性)、いつも以上にノリノリです。

キルスティン:『私は○○社のCEO△△は、こういう時は××をするべきだと思う。何故なら・・・』
ネル:『私はキルスティンの意見に完全に反対です。何故なら・・・』
エミリー:『キルスティンの意見も、ネルの意見も、両方とも興味深いけど、今議論すべきポイントはそこではないと思う。何故なら・・・』
教授:『なるほど、色々と素晴らしい意見が出ましたね。我々がリーダーとしてこのような状況で考えてあげないといけないことは・・・』
キルスティン:『先生ちょっと待って下さい!ネルのコメントに対する私の反論がまだ終わってません!』

(学校から自宅までの帰り道)
 
ビジネススクールの授業中のディスカッションは教授が指揮を取るひとつのエンターテイメントのようで、意識の高いクラスメートたちから多くの刺激を受けます。女性も男性も同じように積極的に議論を引っ張っていくこの雰囲気が私は本当に大好きです。Tuckの場合ほとんどの授業がケースメソッドを採用していて、ケースメソッドの授業では授業中の議論を如何に自分が引っ張っていけるのかが成績の大きな部分を占めます。従って皆が積極的に発言をする必要があるのですが、低レベルなコメントはもちろん歓迎されず、何を言っても良い訳ではありません。『発言しないのは恥、的外れな発言をするのはもっと恥』という雰囲気が教室の中にかなり漂っています。そのようなプレッシャーがある中で、『じゃあどうするのか?』と言うと、その答えは明白で『失敗を恐れずに積極的に発言をする』ということになります。実際のビジネスとは異なり、授業の中では失敗を犯しても誰かが損失を被る訳でも、誰かが職を失う訳でもありません。そこにリスクは何もないですし、失敗することで必ず次に繋がっていきます。私は授業の後には(未だに)『今日の自分の発言は少しポイントがずれていたな・・・』とか、『正しいことを言ったけれども、もう少し上手く伝える方法があっただろうな・・・』のように、毎日反省してばかりです。但し『もっと発言をするべきだったな』と参加しなかったことを反省をすることはなく(=積極性は保てているので)、少しずつ、少しずつ、前進はしているのだと思います。そして今日も自分の意識を高めてくれる最高の仲間たちに囲まれている今の環境に対して、感謝をするのでした。

よしかん(T’15