2014年7月25日金曜日

MBA一年目のtakeaway

どこのビジネススクールに行ったとしても、学校側が伝えるメッセージは以下のようなことなのではないでしょうか。

 Asking the right questions(問題の本質を理解せよ)
 Getting out of your comfort zone(迷ったら厳しい方の道を選べ)
 Making decisions under uncertainty(不確実性下でも意思決定を行わなければならない)
 Making a difference(社会にインパクトを与えよ)

これら4点は何れもMBA経験者の『留学体験記』的なものに必ず出てくる言葉なので、よく目にするフレーズですね。但し、教授がこのことを教室の中で言葉で言っただけで我々がこれらの考えに即座に共感出来るとは限りません。MBAの授業内外で毎日同級生と繰り広げられる議論、その中で相手を自分の言葉で納得させたり、或いは逆に自分が論破されてしまったり。それによって自分の考えが変わったり、或いはやはり自分の考えが正しかったのだと自信を持つことが出来たり。自分とは全く異なる人生をこれまで歩んできている同級生による言葉、その言葉の奥にある考え方、その考え方のもっと奥にある生き方。そういったものに触れながら自分が刺激を受け、又同級生に対しては自分が刺激を与えられる存在となるよう努める。このような『体験』を通じて、4点を自分の中に落とし込んでいくというところに、単なる知識の詰め込みとは異なるMBAというものの深みがあります。

さて以上は一般論ですが、ここから私個人のTuckでのtakeawayに触れさせて戴きます。

1.同級生から受ける刺激(同級生=自分の実力を見つめ直す為の物差し)
同級生の魅力は、Why Tuck?でも触れた通りです。私がMBAを目指した理由のひとつは、自分にとっての物差しが欲しかったからです。私は限られた業界でしか働いたことがなかったので、業界の外に出た時の自分の競争力がよく分かりませんでした。周りに同じ業界の人間しかいないと、井の中の蛙になり兼ねません。MBAでは世界中から優秀と言われている人たちが集まってくるので、その中で自分は活躍することが出来るのか?或いは全く歯が立たないのか?そこら辺の感度を自分で理解したいと思っていました。今では、同級生たちは自分が意思決定を行う際に強く意識してしまう存在たちです。そのような人たちに囲まれている今の私の状況は、非常に恵まれた環境だと思います。私はこれ以上ないくらい素敵な物差し(比較対象)を見つけることが出来ました。

2.チーム内で自分が機能する方法
これもWhy Tuck?で触れた通りです。チームワークというのは、実は非常に厳しい世界です。何故なら、自分が貢献出来なければ他のチームメンバーから不必要な存在と見なされてしまうからです。自分はどのようにチームに貢献出来るのか?自分はどのように貢献したいのか?時には周りを見ながら、時には周りとは関係なく自分の強みを積極的に売り込みながら、チーム内での足場を固める必要があります。Tuckでは本当に様々な人たちと、様々なプロジェクトでチームを組む機会に恵まれます。それらを通じて、私はどのようなチームの中でも自分なりの貢献方法を見出せるスキルを習得することが出来ました。

3.明確に伝えること
これは当たり前のことなのですが、アメリカだとまた感度が日本とは異なります。『考え方』の問題に加え、日本語という言語を使っているとつい癖になってしまう『伝え方』の問題もあります。(分かり易いように敢えて極端な例を使いますが)日本語では『今日は傘を持って出掛けます』で済む文章も、MBAの授業では突っ込みどころ満載です。『何故傘を持っていくのですか?』『雨が降ったらどうするのですか?』などと突っ込まれる可能性があります。従って、『私は午後に雨が降ると思うので、今日は傘を持って出掛けます。そして実際に雨が降ったら、持っていった傘を差します』ぐらい明確に伝えてあげる必要があります。あとは自分でポジションをしっかり取ることです。『今日の午後は晴れますか?それとも雨が降りますか?』と聞かれたら、『どちらの可能性もありますね』という回答ではダメなのです。『私は雨が降ると思います。何故ならば×××。晴れると考えることは間違っています。何故ならば△△△』と立場を明確にする必要があります。そもそも回答が一目瞭然であるような問いはMBAの授業には登場しなくて、どちらを選んだとして一長一短あるような問いばかりです。だからこそmaking decisions under uncertaintyとなってくる訳です。これ以上は無理、というところまで自分の『考え方』も『伝え方』もハッキリさせることを、今まで以上に意識するようになりました。

以上が私の個人的なtakeawayです。

 よしかん(T’15